バッチミルキング

バッチミルキングがもたらす日本の酪農の未来

「バッチミルキング」がもたらす日本酪農の未来

前回の投稿では、パーラー搾乳システムのコンセプトをそのままに、搾乳作業をVMS™が自動化する「バッチミルキング方式(以下、バッチミルキング)」をご紹介しました。

これは、「現状の作業ルーチンや給餌方法を維持しながら搾乳作業に最大限の自動化を実現する」という非常に画期的なものです。その実例として、アメリカ・テキサス州のランチョ・ペッパー牧場での導入例をご紹介しました。

一方日本国内では、不足する労働力や飼料・肥料など牧場経営に不可欠な要素の多くを国外から確保することで、これまでその経営を維持してきました。 しかし世界的なパンデミックの発生で、不足する飼料や資材、価格高騰、確保できない労働力により、グローバルサプライチェーンや外国人労働力に依存する日本酪農の脆弱さを思い知ることとなり今に至ります。

今回は、この様な日本酪農の置かれる現状に「バッチミルキング」がもたらす諸問題改善への新たな可能性と、そのメリットついてもう少しその詳細をご紹介させていただきます。

 

「バッチミルキング」の存在価値

世界各国で26年間、国内では24年間に及ぶ弊社搾乳ロボット「VMS™」の稼働実績の中、ハードウエア機能や飼料給餌・各トラフィックなどの方法論は熟成の時をむかえています。「バッチミルキング」は、VMS™ユーザーや、今後導入を視野に経営ビジョンを描く酪農家の皆さまから派生し生まれた、必然的なシステムと言えます。

これは、VMS™の持つ『搾乳作業自体に人間の介在を必要としない』と言う基本的なコンセプトを酪農経営に酪農家自身が取り入れたVMS™の新たな存在価値だと言えます。

 

具体的なメリットとは?

では、「バッチミルキング」の導入は具体的に何をもたらすのでしょうか?

①    経営形態の現状維持によるVMS™導入 

②    導入におけるイニシャルコストの最小化 

③    労働力の確保と最小化

④    既存施設更新時の選択肢の多様化

⑤    規模拡大への新たな可能性 

⑥    飼料効率の向上 

⑦    データ活用による酪農の革新

 

高騰する建築関連資材を最小限に

これまでのボランタリによるVMS™導入は、規模が大型化するほど高騰する建築コストが大きな負担となっています。

「バッチミルキング」では、搾乳棟はVMS™を並列に配置しコンパクトにまとめられ、イニシャルコストを極限まで低減します。 搾乳棟以外の現行施設をそのまま利用できることもこれに大きく貢献しています。 また、待機エリア・帰経路へスクレッパーを導入することで基本的に除糞作業からも解放されます。 

このような導入における最大限の自動化が、作業を搾乳棟への牛の誘導のみとして労働力の最小化を実現します。

イニシャルコストや労働力、さらに導入後の管理に関し多くの導入効果をもたらす「バッチミルキング」ですが、何よりもバッチミルキング以外の他の搾乳システム(=パーラーやつなぎ、ボランタリ)の追随を許さないのは、VMS™が持つ多くの優れた機能を利用できることにあります。

 

多くの有益なデータの獲得と未来の酪農

VMS™の導入は、単に「搾乳作業からの解放」ではなく、それによりもたらされる多くの有益なデータがこれまでに類を見ない革新的酪農を実現するシステムとして、その存在意義を高めて来ました。 

特にボディコンディションスコアの検出や、ともなうロボット内給餌によるエネルギー補填などのハードウエア機能は、飼料効率向上にとどまらず繁殖成績の向上にも大きく寄与します。 

広く取られた待機エリアは牛の行動の自由度を高め自らのロボット入室を促し、必要以上に人が関与しない事実が、牛たちに最大限のアニマルウェルフェアを実現します。

もっとも重要なことは「バッチミルキング」の導入が、人と牛双方へ福祉環境を実現する中で、諸問題を抱える日本酪農へ革新的な改善の旗頭となり、ひいては持続可能な酪農の未来をもたらす新たな世代の「搾乳ロボットシステム」だと言えることでしょう。