牛のボディコンディションスコア(BCS)管理が繁殖成績に与える影響
ボディコンディションスコア(BCS)を知り、牛群の繁殖能力の向上を目指しましょう
牛は分娩後に体脂肪を動員してコンディションを落としますが、中でも特に分娩前の BCS(ボディコンディションスコア) が 3.5 以上の牛は、さらにコンディションを落とす可能性が高くなります。このような牛は、1 回目の人工授精で妊娠する可能性が低くなります。コロラド州立大学の研究によると、初回授精時の妊娠率が最も低かったのは、分娩から授精までの間にBCSが 0.4 以上低下した牛でした。反対に妊娠率が最も高く、受胎までの日数が最も短かったのは、同期間に BCS が上昇した牛でした。
良好な状態の牛、つまり BCSが3.15~3.25の牛は、妊娠する確率が高いだけでなく、妊娠を維持する確率も高くなります。分娩後のBCSの低下が 0.25 を超えると、早期妊娠ができなくなる可能性が高くなります *。
*J.E.P. Santos et al. Animal Reproduction Science 110 (2009) 207-221
図1:繁殖管理におけるBCS効果の概要図
もし、適期に妊娠させられなかったり、流産が起きたりすると、分娩間隔が長くなり、BCS の高い牛を乾乳にする可能性が高くなります。
このような事態を避けるためには、泌乳期間中のBCSの変化をモニタリングすることが有効です。以下の表は、BCSを見る上で重要な指標を並べたものです。
表1:繁殖結果に対する BCS ロスの影響 (出典: Butler 2000; Garnsworthy en Webb 2002; Guthrie and West 2003)
BCSカメラで毎日牛を自動でモニタリングすると、繁殖成績全般を向上させるのに役立つ、以下の情報を得られます。
- 牛を適切な状態で乾乳させる
- BCSがプラス傾向の牛に人工授精を行い、受胎率を上げる
- 早期流産を回避する
BCSのモニタリングで、デルプロが役に立つのはどんなとき?
デルプロが提供する既定レポートは、個々の牛と牛群のBCSの値、その経時変化を確認できます。また、BCSの情報は、人工授精の開始時期を決定するために活用できます。さらに、BCSの傾向と値を牛群別レポートに追加すると、ボディコンディションが向上した牛や低下が止まった牛に注力して人工授精を行うことができます。
また、標準作業手順(SOP)を使用して乾乳前のボディコンディションを管理することで、適切なボディコンディションで乾乳期を迎え、次の泌乳期に代謝異常が起こるリスクを最小限に抑えることが可能です。
図2 デルプロBCSチェックレポート(BCS傾向を含む)